プリセプターシップの意味と種類
看護師の研修システム「プリセプターシップ」
プリセプターシップとはプリセプティと呼ばれる新人看護師がスムーズに仕事ができるように、若手の先輩が技術的な指導やメンタルをサポートする研修制度のことです。プリセプティが深刻なリアリティショックを受けずに看護を実践できるよう、1年を通して指導します。
また、プリセプターは若手の看護師なのでそれほど勤続年数を重ねているわけではありません。ときには指導に悩んでしまうこともあるでしょう。そのようなときに備えて、プリセプターには適切な指導ができるようにベテランの看護師が相談役としてサポートする制度も設けられています。
プリセプターシップの種類
プリセプターシップは病院や病棟によってやり方が異なりますが、大体は「プリセプターだけで指導する形」「シニアプリセプターやアソシエイトがプリセプターの上について指導する形」「メンターがプリセプティとプリセプターの2人を指導する形」の3種類に分かれています。厚生労働省の新人看護職員研修ガイドラインをもとに、それぞれの特徴をまとめました。
「プリセプター」
ある一定期間、1人の新人看護師についてマンツーマンで指導したりサポートしたりする先輩看護師のことです。プリセプターは担当のプリセプティと一緒に仕事をしながら看護師に必要なアセスメントや看護技術を優しく、ときには厳しく指導していきます。
「シニアプリセプター」と「アソシエイト」
病院によって呼び名は違いますが、プリセプターを補佐する看護師のことです。プリセプター1人につきシニアプリセプターが1人つく場合もあれば、複数人のプリセプターにシニアプリセプターが1人つく場合もあります。また、病院によっては日々の業務の指導や悩みの相談などはシニアプリセプターが行い、実践的な指導を行うのはアソシエイト、と分担しているところもあります。
「メンター」
新人看護師を指導してアドバイスしたり相談に乗ったりする、新人看護師の味方として位置しているのがメンターです。実践的な指導よりも精神的な指導を行うことが多いため、中長期的なキャリア支援を行って新人看護師が人間的にも成長できるようにサポートしていきます。
今後の課題
プリセプターシップは1980年代後半から日本でも導入されるようになり、今では一般的に行われています。新人看護師と一番多く接するのがプリセプターのため、新人指導はすべてプリセプターが担うものと思われがちですが、医療の高度化や診療報酬が改定されて看護配置が変更されたこともあり、現在プリセプターの負担は大きくなっています。プリセプターだけに任せるのではなく、シニアプリセプターやアソシエイト、メンターなどのフォロー体制を万全にした制度にするなど、組織全体でプリセプティを指導していくことを考えていかなければなりません。